簡単なデータチェックを1業務だけ切り出すところから始まり、現在では部門の業務のほぼすべてを海外チームが担っています。複雑なデータ処理も、進捗と品質の管理も、現地の責任者が回している状態です。
導入前の課題
コスト負担と人手不足が、同時に来ていました。定型のデータチェック業務には一定の人数を貼り付ける必要がある一方、採用は思うように進まず、採用できてもコストが見合わない。かといって業務量は減らないため、既存の社員に負荷が集中していました。
「単価の低い作業に、国内の人件費を払い続けている」という構造そのものを変えないかぎり解決しない、という状態です。
最初に切り出したのは、1業務だけ
着手したのは、簡単なデータのチェック作業です。いきなり大きな体制は組みませんでした。
この業務を選んだ理由は3つあります。手順が明確で文書化しやすいこと、成果の良し悪しを誰でも判断できること、そして万一止まっても業務全体への影響が限定的であることです。オフショアの立ち上げでは、最初の業務選びが成否をほぼ決めます。
段階的に、範囲と権限を広げた
チェック作業の品質が安定したところで、入力、そしてより複雑なデータ処理へと範囲を広げていきました。人数も少しずつ増やし、現在はベトナム13名・インドネシア3名の計16名の体制です。
- 第1段階:簡単なデータチェック(少人数で試験稼働)
- 第2段階:データ入力・整理へ拡張、手順書とチェック項目を整備
- 第3段階:複雑なデータ処理を移管、人数を増員
- 第4段階:現地責任者が進捗管理・品質管理を担当
日本側の管理から、現地の自走へ
立ち上げ当初は、指示の整理も品質確認も日本側が担っていました。ここを省略すると必ず失敗するためです。
ただ、手順書とチェック体制が積み上がるにつれて、判断できる範囲が現地に移っていきました。現在は複雑なデータ処理も、日々の業務管理も、現地の責任者が回しています。日本側は例外対応と最終確認に関わるだけで済むようになりました。
導入後の変化
結果として、部門の業務のほぼすべてが海外で完結する状態になりました。国内の人員は、判断が必要な業務と対外的な折衝に集中できています。
あわせて、業務が特定の担当者に依存する状態も解消されました。手順書とチェック項目が残っているため、担当者が代わっても品質が落ちません。繁忙期の増員も、採用を伴わずに対応できます。
16名の体制は、最初から用意したものではありません。1業務・少人数で始め、品質が確認できるたびに範囲を広げた結果です。小さく始められることは、大きく育てられることと矛盾しません。

